はやぶさラボ

地球科学の若手研究者のプライベート

プロメテウス火山:火山好きの愛と夢の結晶

東京都心から30分くらいでアクセスできる唯一の活火山をご存知でしょうか?

某テレビ番組の伝説回でもK先生が言っていましたね。そう、冒険とイマジネーションの海にそびえるプロメテウス火山です。

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このプロメテウス火山、火山を研究する人々の火山への愛と夢が詰まっていて本当に好き。

例の伝説の回でもやっていた学術的再現度にも現れているんですが、何と言っても私がいちばん好きなところは、今も火を吹いている火山の真下をぶち抜いて穴を開けてしまったこと。本当に好き。

プロメテウス火山以外の、火をバァバァ吹いている活火山でこんなことしたらどうなると思います?と言うかできると思います?

火山を愛してやまない研究者(私もそのひとり)はこう思います。

火山の中はこうなっているんだろう。間違いない。でも自分の目で確かめたい、掘って中を見たい、全身で火山を、地球を感じたい!

で、掘っちゃった結果できたのがプロメテウス火山の地下通路とセンターオブジアース。

ミステリアスアイランドへのあの地下通路の岩壁のディテールやひんやりした空気は、火山の地下の世界をこの目で見たいなあという夢を叶えてくれます。

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あの地下通路をただ通り過ぎるだけでなく、みなさんもぜひ一度立ち止まって、地球の鼓動を感じてみてください。

ロードバイクを買った!正確にはフレームとパーツを買った!

表題の通り、ついにロードバイクを買ってしまった。といっても買ったのはフレームとバラのパーツだけ、いわゆるバラ完ってやつです。

 

フレームは相模大野の細山製作所さんでオーダーしたクロモリフレーム。だいぶ前にオーダーしたものですが、先日ついに受け取りました。細山さん、ありがとうございました。

 

そして自分で組むために選択したパーツは下記の通り。

 

・クランクセット アルテグラ FC-R8000

ボトムブラケット デュラエース BB-R9100

STIレバー アルテグラ ST-R8000

・ブレーキ アルテグラ BR-R8000

・リアディレイラー RD-R8000

・フロントディレイラー FD-R8000

カセットスプロケット CS-R8000

・チェーン CN-HG701

 

コンポーネントアルテグラR8000フルセットに、お決まりのBBのみデュラエース

そこに、

 

・ハンドル シマノPRO PLTコンパクトエルゴノミック

・ステム シマノPRO LTステム

・シートポスト DEDA ZERO1

・サドル セライタリア フライト1990

・タイヤ コンチネンタル GP4000SII

・ペダル PD-A600

 

などなど。

そのコンセプトは…質実剛健

 

完成時の重さには目をつぶり、信頼性・見た目・安さを両立しながら、体が触れるハンドルやサドルにはこだわった仕様です。

 

なぜシマノPROで統一しない!?とか、なぜSPDペダル!?というツッコミどころのある構成ですが、それは自分なりのこだわりあってのこと。

 

肝心のホイールがありませんが、これについてはこだわりのあまり色々あったのでまたの話。

 

これからゆっくり組んでいくとします。

完成が楽しみ。

心がもやもやしたら自転車に乗ろう

久々の更新のテーマは、自転車の乗ることで心に思っよりも良い影響を与えるという話。

 

筆者は学生時代バリバリ競技をやっていたが、愛車が盗難に遭って以来、自転車はおろかスポーツすらやらなくなってしまった。

 

物心つく前から水泳や自転車に毎日励んできた筆者にとっては異常事態だ。

 

でも、仕事・研究で忙しいから、幸せ続きでお金がないからと理由をつけて、もやもやしつつも、これもいい大人になったからなんだと自分を納得させていた。

 

そんな時に、クロスバイクを譲ってくださるという方が現れた。

 

車種はGIANTのESCAPE R3。クロスバイクを広く普及させたロングセラーの名車だ。

 

長くロードバイクに乗ってきた身で満足できるかなぁと少しの不安もあったが、人こぎ乗って吹っ飛んだ。

 

ほんと楽しい、自転車。

もう一度言う、ほんと楽しい!

 

もうその日からすぐにタイヤを交換し、ポジションを出し、走りまくった。往復35キロの通勤も始めた。

 

するとどうだろう。楽しいだけじゃなく心も頭もすっきりするようになった。走っている間に悩みも洗濯されるようにきれいに解決する、いい研究アイデアも浮かんでくる。心がとても軽くなった。

 

こんなことならもっと早くから無理にでもなんでもいいから自転車を買っておけばよかった。でも、人から直接手渡しでいただいたいい自転車なので愛着も沸く。出会うべくしてであった自転車なんだろうなぁと思う。

 

どこかで見たけれど「トラック1台分の薬より、一台の自転車」というのはまさにそうだと思う。

 

それは、自転車に乗ることが、ほかに数あるスポーツの中でもまた違った効果を、体と心に与えるのではないだろうか。

 

自転車は、人が人力で最も速く遠くまで移動できる手段だ。スポーツバイクに乗らない人は、100キロ走った、200キロ走ったというと驚くけど、乗ってみると案外行けてしまうものだ。

 

そして、得られるのは自分が今までは信じられなかった距離を走ったんだという達成感と、普段とは違う景色が普段とは違う速度で流れていく爽快感、風や温度や音をダイレクトに感じる新鮮さだ。

 

この非日常感が心と体を刺激して、たまった毒を綺麗さっぱり洗い流してくれるんだと思う。

 

だから、何かで何かを発散したい、自転車に少しでも興味があるという方は、7万円握りしめてESCAPE R3と、ライト、鍵、ヘルメット、ポンプを買って、とりあえず隣の県まで行ってみてほしい。

 

素晴らしい世界が待っているはず。

 

久しぶりのスポーツバイクであるESCAPE R3は、自転車の素晴らしさを思い出させてくれた。譲っていただいた方、本当にありがとうございました。

地球科学の研究者になってよかったこと

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地球科学の研究者になってよかったことはたくさんある。

 

その一つは地下探検。普通は行けないような地下の世界を見ることができることだ。

 

写真はドイツの古い古い鉱山の坑道内。去年の夏の研究者向け巡検で訪れた鉱山だ。確か16世紀から20世紀中ごろまでの長い間採掘が行われた鉱山だったと思う。

 

この鉱山は観光坑道化されていて行けば誰でも入れるが、わざわざドイツのド田舎まで行って坑道見学するなんてそうそうできない。

 

さらに、現地の研究者の詳しい解説付きだ。研究者同士なら普段は入れないところまで見せてくれるし、より深い話もできる。岩石試料も採らせてくれる。

 

私たちが普段(?)目にする鉱石や美しい鉱物の結晶がどんなふうに出てくるのかを見るのはたまらない、というのはマニアな方々にしかわからないと思うが、それとは別にたまらないのが、廃墟的なおもしろさ。

 

百年以上そのままのトロッコの線路。打ち捨てられた錆だらけのトロッコや重機。崩れるにまかせられた事務所や階段。先の見えない長い坑道をぼんやりと照らす粗末な明かり。

 

本当にたまらない。廃墟好きじゃなくてもなんかわかってもらえるはず。

リアルラピュタである。天空の城ラピュタの前半に登場する鉱山そのまんまだ。

 

となれば、明かりを全消しして天井を見て「わあ!」と言ってみたいものであるが、それはやめておいたほうがいい。完全な暗闇で何が起こるかわからない。地下の閉鎖空間の暗闇は本当に怖い。

 

坑道内で想像する。かつてハンマーとツルハシとタガネだけで掘っていた坑夫たちのことを。今より設備も貧弱だっただろうから、落盤や闇への恐怖は想像を絶する。しかし、高品位な鉱脈を発見し、美しい鉱石を手にした時の感動はそれに反比例して大きなものだったに違いない。

 

私たちが普段入る坑道は、安全性の確認された整備された坑道だ。

それでも、坑道を出るとなんだか安心する。

地上の光と空気は、本当に安心感を与えてくれる。

坑道を出ると、地下はやはり人のいるべき場所ではないと感じる。

同時に、人の住む世界、人の知る世界は狭いんだなあとも感じてしまう。

 

人類は地球上のあらゆるところに進出したけれど、地球そのもののことはまだほとんど知らないのだ。

研究者はパフォーマーだ!

研究者って何してるの?
 
これはよく聞かれる質問だが、それが「日々の仕事として」ということなら、実験・分析して結果をまとめて考察して論文を書く、または学生や一般の人に講義をする。
ということでいいだろう。
 
でも、研究職とは遠いところにいる人にとって、これは求められた答えじゃないはず。
もっとこう、目的とか、意義とか、そんなところなんじゃないか?
 
それなら、
人類の知らない新しい知識を発見して世に広め、それを通じて社会貢献をすること。
ありきたりな感じだが、こういうことだろうか。
 
しかしそれもなんか違う。いや、人類・社会に貢献したいというのはそうなんだが、そんな曖昧な言葉でまとめたくない。
 
そもそも社会貢献とはなんだろう?
新技術につながる発見をして便利で快適な世の中にすること?地震予測を可能にする発見をして安心な世の中にすること?そういった実社会に役立つ発見をすること?
 
いやいや実社会などと言ってしまうと、例えば、宇宙の遥か彼方の人類が辿り着けないような遠い星に生命がいることがわかりました、って話があったとしても、それは実社会に役に立ちますか?それでどうなるの?役に立たないじゃん。
となってしまわないだろうか?そうなってしまったら、研究者としてちょっと悲しい。
 
思うに、研究することの根本的な目的はそんなに難しい言葉で説明するようなことじゃない。
人に「すごい!」「楽しい!」「わくわくする!」と思ってもらうことだと思う。
 
社会貢献とは、突き詰めれば人が今よりも安心だ、快適だ、楽しい、嬉しいと思えるようになることをすることなんじゃないだろうか。
 
それなら、研究することによって、人にすごい!楽しい!と思ってもらえたら、それはダイレクトに社会貢献したことになるはずだ。
 
上の例でもそう、宇宙の彼方に自分たちとは違う生命がいることを知ったら、実社会には何ら影響はなくても、見上げる夜空はそれまでとは違ったものに見えるだろう。自分だったら、夜空を見上げながら、すごいなぁ、見てみたいなぁ、ととってもわくわくした気持ちになると思う。知るだけで豊かな気持ちになれる。
 
そういうことで、研究者はサッカー選手や俳優、音楽家や画家と同じ、パフォーマーなんだと思う。知識で魅せるパフォーマーだ。
 
実社会に役立てることなどは、付随するものに過ぎない。人の気持ちを満足させ、高ぶらせてこそだ。
 
自分が楽しい、面白い、すごいと思う新しい知識を人に伝えて、人が豊かな気持ちになれば、みんなうれしいし自分もうれしい。
 
だから研究者は、自分のためにも人のためにも、知識の探求だけではなく、むしろそれ以上に、研究の楽しさ、面白さ、すごさを伝える努力をすべきだと思う。
 
とはいっても、研究者を続けていく上で、いいポストに就き、安定した収入を得るために、楽しくない事務的に研究をせざるを得ないこともあるかもしれない。それでも、今自分が向き合っていることは何がすごいのか、おもしろいのかは常に意識していきたいと思う。何より、そうしないと自分が楽しくない!

海は本当に青かった!

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この写真は以前に調査航海で東京から南東へ 2000km も離れた太平洋のど真ん中の海面を写したものだ。

 

補正がかかっているわけでもなく、本当に嘘のように真っ青。

 

沖縄やキューバの海も青いが、それは水がきれいであるだけでなく、水深が浅いからだ。

 

深い海でも陸に近いところではこんなにも青くはならず、緑がかっていたり、暗い色だったりする。実際、小笠原あたりを通る時はこれほど透明感のある青ではない。

 

なぜこんなにも青いのかというと、陸から遠く離れたこの辺りの海は、主に陸から供給される栄養が非常に少なく、プランクトンなどがいないからだ。

 

そのため、不純物の少ないこの辺りの海では、水本来の青が見える。

 

しかし、栄養が少ないことは、生物にとって厳しい環境であることを意味する。

実際、この辺りには魚も、クジラやイルカも、鳥もなんにもいない。

それはさながら砂漠のようである。

 

この殺伐とした美しい海を眺めていると、畏敬と安らぎに混じった不思議な気持ちになって、とても気持ちがいい。

 

こんな飛び抜けた地球の美しさに出会えるから、地球科学の研究は楽しい。

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はてなブログの方がシンプルで見た目も好みだ。

 

まだ引っ越しするほどの記事は書いてないし、そもそもどんなノリでブログを書いていいのやら・・・

 

まぁ、その時の気分でいいや!